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2025/10/09
今季の敬意と感謝『大自然と過ごす癒しの時間』

壁を乗り越える為の知恵をさずかれる
初めてフライロッドを握った日のことを、今でもはっきりと覚えています。糸を結ぶ手つきはぎこちなく、毛針を思うように投げられない、かと思えば木の枝に引っかかる、そして絡れるトラブルの連続でもはや苦行のような状態、ただひたすらに一つ一つしかも丁寧にトラブルを解決していくだけの時間が続き、根気と気力が鍵に。想像以上の難しさを思い知らされる。けれど、一筋縄で行かない要素が何故か面白い。そして目の前に広がる渓流の透明な流れと、緑の景色に、ただただ心を奪われていました。
竿を振るたび、五感をくすぐられる
フライフィッシングは、ただ魚を釣るための技術ではありません。竿を振る音、ラインのしなり、水面をかすめる毛針の着水音──その一つひとつが、自然へつなげてくれます。集中すればするほど、風を感じ、川音、木漏れ日に敏感になっていく。
竿を持つ手のひらから伝わる冷たい水の感触。足元の苔と石に触れたときのひんやりとした感触。まるで五感がすべて、自然にゆだねられていくような、そんな体験です。
魚と出会う、という奇跡
運よくアマゴやイワナが毛針に反応してくれるますが、それは決して「釣ってやった」という感覚ではありません。「出てきてくれてありがとう」。そう思わずにはいられないのです。
何十年も変わらない山の景色のなかで、命を育みながら静かに生きてきた魚たち。その命にふれさせてもらうことを、フライフィッシングは教えてくれました。
自然の中でのやさしさ
禁漁期最終日、現地に着き準備完了、毛針を付けてさあ始めようとした時、なんと自作の毛針一式をうっかり家に忘れたことに気付きました。意気消沈しながら渓を歩いていると、年配の釣り人に出会い、事情を話すと「差し上げますよ」と、丁寧に巻かれたフライを分けてくださいました。この場をお借りし改めて感謝し御礼申し上げます。
その日、釣れた魚の記憶以上に、その人のやさしさと自然の懐の深さに心を打たれました。自然とは、時に厳しく、そしてとてもやさしい。
【渓流フライフィッシング】今シーズンありがとう
大自然と過ごす癒しの時間
渓流は、心を洗う場所
忙しない日常では忘れてしまいそうな「静けさ」や「余白」──それを取り戻させてくれるのが、渓流であり、フライフィッシングという営みです。
空を見上げて風の流れを感じ、川の音に耳を澄ませ、魚の気配を読む。それはまるで、自然と対話する時間。
大自然に敬意と感謝
9月末をもって、2025年の渓流釣りシーズンが静かに幕を下ろしました。
来年3月31日までは、渓流魚たちが新たな命をつなぐ「産卵期」。
多くの癒しと気づきをもらいました。
朝のひんやりとした空気、光を反射する水面…。
ただ釣果を求めるだけではない、深呼吸のようなひとときでした。
魚たちに。森に。風に。水に。
すべての自然の恵みに、心から感謝。
また春になったら、会いに行きます。