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2025/06/20
素敵な麦わら帽子——時を重ねて、輝きつづけるもの
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ショールームの一角に、ふと目を引く麦わら帽子がありました。
それは、それは、味わい深い存在感。飾ってあるわけでもなく、無造作に引っかけられているだけなのに、なぜか心を惹きつけられる。
その帽子の持ち主は、昭和23年生まれのパートさん。ウッドデポで木工の軽作業を手伝ってくださっている大先輩です。
「どこで買ったか…もう忘れたなあ」
そんな何気ない言葉にも、なんだか年輪のような重みを感じてしまう。この帽子と共に重ねてきた時間が、にじみ出ているのでしょうか。
「格好ええ帽子はいっぱいあるけど、夏はこれが一番ええ。風通すし、汗も吸う。なにより、楽やしな」
涼しげに笑う姿に、思わずシャッターを切りました。それは“麦わら帽子をかぶった職人”というよりも、“時代を生き抜いた大先輩の背中”を感じさせる風景でした。
便利で手軽なモノがあふれる時代に、なぜかこの麦わら帽子は眩しく見える。それはきっと、“ただの帽子”じゃなく、暮らしと生活に長く馴染んだもの。
風を通し、汗を吸い、黙って日差しから守ってくれる。そんな無口なやさしさを、この帽子は備わっている。
そして、こんなふうに静かに働きつづける姿が、なによりも美しく、尊いと思わず記事にしてしまいました。