
READS
2026/09/15
更新日:2026/09/15
ECの在庫は「数字を入れれば終わり」じゃない。木製ドアの在庫管理の裏側
CONTENTS|目次
- 毎週、300商品以上の在庫を確認しています
- 「だったら自動化すればいいのでは?」
- 「在庫1」だからといって、いつでも注文できるとは限らない
- 「在庫あり」でも、商品が完成するとは限らない
- 受注生産の商品は、そもそも「在庫数」だけでは考えない
- 結局、「在庫管理」は数字の管理だけではない
- 自動化したい。でも、全部を自動化するのが正解とも限らない
いろんなECサイトを見ていると、「在庫あり」「残りわずか」「お取り寄せ」「受注生産」など、商品によってさまざまな表示があります。お客様にとっては、「今買えるのか」「どのくらい待つのか」を判断するための大事な情報です。だからWOOD DEPOTでも、商品ページに表示する在庫情報は、できるだけ正確にしておきたい。
そのために、毎週やっている作業があります。それが、在庫の確認と更新です。そして、その作業は……意外と、手作業です。
「今どき、手入力?」と思われるかもしれません。私も、できることならCSVで右から左へデータが流れてくれたら楽なのになぁ、と思います(笑)。でも、木製ドアを扱うECでは、在庫管理は単純に「数字をコピーして終わり」というわけにはいきません。今回は、そんなECサイトの裏側を少しご紹介します。
毎週、300商品以上の在庫を確認しています

WOOD DEPOTでは、協力業者さんなどからいただく情報をもとに、毎週、商品の在庫を確認しています。取り扱っている商品には、協力業者さんの倉庫にあるものもあれば、WOOD DEPOT側で在庫している金物や小物などもあります。細かい商品まで含めると、在庫表に載っている商品は300商品以上。さらに、木製ドアはサイズや仕様などによって管理する規格も増えるため、実際に確認する対象はもっと多くなります。
そして今週と前週のものとを見比べながら、「ここが変わった」「この商品は在庫が減った」「これはゼロになった」「逆に増えている……なんで?(笑)」といった変化を確認していきます。
変更があった商品については、EC-CUBEの商品管理画面を開いて該当商品を探し、必要な情報を更新します。バリエーションがある商品なら、サイズや仕様ごとの在庫も確認します。入力・保存したあとも、もう一度一覧から規格ごとの在庫数を確認します。これを毎週繰り返しています。
派手な作業ではありません。でも、商品ページに表示される情報を支える、地味に大事な作業です。
「だったら自動化すればいいのでは?」
はい。その通りです(笑)。在庫情報をECサイトに反映できるようCSVを利用すれば、入力作業そのものはかなり減らせます。繰り返しの作業を自動化することは、EC運営においても大切です。単純に私自身も、「これ、自動で反映されたら楽なのにな」と思うことはあります。
ただ、在庫管理をしていると、少し別の問題も見えてきます。たとえば、
- 先週より在庫が減っている
- いつの間にか在庫がゼロになった
- 逆に在庫が増えている
- 最近よく動いている商品がある
- しばらく在庫が戻っていない商品がある
といった変化です。数字だけを更新する仕組みなら、こうした変化も自動で処理できます。でも、「何が変わったのかを見る」ことと、「数字を更新する」ことは、実は別の仕事です。
毎週、前回の在庫と見比べているからこそ、「この商品、最近よく動いているな」とか、「この商品、ずっと在庫が戻っていないな」と気づくことがあります。そして、その気づきが、次の確認につながることもあります。だから今のところWOOD DEPOTでは、単純に数字だけを自動更新するのではなく、人が見て確認する工程も残しています。
「在庫1」だからといって、いつでも注文できるとは限らない
在庫表に「1」と書いてあったら、「あと1個あるんだ」と思いますよね。もちろん、それは重要な情報です。ただ、在庫情報には「いつの時点の情報なのか」という問題があります。在庫表を確認している間にも、別の注文が入ることがあります。
つまり、在庫表を確認した時点では1個あっても、その後の状況によっては変わる可能性がある。ということです。
特に在庫が少ない商品については、「最近よく動いてるこの商品、要注意だな…」と、場合によっては、協力業者などに確認を取ることもあります。「一応、在庫1と書いてあるから大丈夫」と数字だけを見るのではなく、その情報をもとに、お客様にどう案内するのが適切なのか。そこまで考える必要があります。
在庫管理というと「数を合わせる仕事」に見えますが、実際には、その先にお客様への案内があります。商品が欠品することで、お客様にご迷惑をおかけすることを何より一番に避けたいのです。
「在庫あり」でも、商品が完成するとは限らない


木製ドアの在庫管理が少し複雑になる理由のひとつが、ひとつの商品を構成するものが、ひとつとは限らないということです。
たとえば、ドアクローザーと補助板。この2つを組み合わせて、ひとつの商品としてお届けする場合、ドアクローザーだけ在庫があっても、補助板がなければ商品として完成しません。つまり、「Aがあります」だけではなく、「AとBの両方が揃っているか」を見る必要があります。
さらに木製ドアには、
- サイズ違い
- 仕様違い
- 特殊な仕上げ
など、さまざまな組み合わせがあります。そのため、単純に「商品そのものの在庫数」だけを見て判断できない場合があります。これも、木製ドアを扱うECならではの難しさかもしれません。
受注生産の商品は、そもそも「在庫数」だけでは考えない

もうひとつ、一般的な商品とは考え方が違うものがあります。受注生産の商品です。WOOD DEPOTには、仕上げや仕様によって、ご注文をいただいてから製作する商品があります。たとえば、ドア自体をカスタマイズするヴィンテージフィニッシュなども、そのひとつです。
こうした商品は、「今、完成品が倉庫に何個あるか」という考え方ではありません。
ご注文をいただく
↓
仕様を確認する
↓
製作する
↓
完成した商品をお届けする
という流れになります。しかも、通常の納期は約1か月。そのため、お客様にとって重要なのは、「今、完成品が1個あるか」ではなく、「注文できる商品なのか」「注文した場合、どのくらいの期間で届けてもらえるのか」という情報だったりします。
そこで、受注生産の商品については、ECサイト上の在庫入力値を「無制限」としています。もちろん、実際に何個でも無限に作れる、という意味ではありません(笑)。「今、倉庫に何個あるか」ではなく、「ご注文をいただいてから製作する商品」という考え方だからです。同じ「在庫」という言葉でも、通常の商品と受注生産の商品では、意味合いが違います。だからECサイト側でも、商品によって「在庫あり」「お取り寄せ」「受注生産」など、適切な情報を伝えられるように考える必要があります。
結局、「在庫管理」は数字の管理だけではない
ここまでの話をまとめると、毎週やっている在庫確認は、単に数字を入力する作業ではありません。前週と比較して、変化を見る。在庫が少なくなった商品に気づく。必要な部材が揃っているか確認する。受注生産の商品は、通常の商品とは違う考え方で見る。在庫が少ない商品については、必要に応じて確認する。在庫がなくなった商品についても、その後の調達状況を考える。そして、「この情報を、お客様にどう伝えるのが適切なのか」を考える。
つまり、在庫管理の先には商品ページがあります。商品ページの先には、お客様がいます。そう考えると、在庫管理は単なるバックヤードの数字合わせではなく、お客様が安心して買い物をするための情報を整える仕事でもあるのだと思います。
自動化したい。でも、全部を自動化するのが正解とも限らない
自動化できるなら、自動化したほうがいい。これは、たぶん正しいです。毎週同じ作業を繰り返しているなら、効率化できるところは効率化したい。私だって、300商品以上の在庫を毎週確認しているので、「これ、もうちょっと楽にならないかな……」と思うことはあります(笑)。
でも、ECの現場では、「自動化できること」と「自動化したほうがいいこと」は、必ずしも同じではありません。数字を更新することは、自動化できるかもしれない。でも、「先週と比べて何が変わった?」「この商品、最近よく動いているな」「この在庫数で、お客様にどう案内するのが適切だろう?」「この商品は、ほかの部材も揃っているかな?」と考えることは、また別の仕事です。
だからWOOD DEPOTでは今も、毎週、目視で、前週と比べています。「今どき、手作業?」と思われるかもしれません。でも、その手作業の中にも、お客様にできるだけ正確な情報を届けるための確認という、ちゃんとした理由があります。

ECの在庫管理は、数字を管理する仕事。そして同時に、その数字の意味を考え、お客様にどう正確に伝えるかを考える仕事。私は、そんな仕事だと思っています。